どどどっ

阿部寛そっくりの裕イサオが、シャルル・ドゥ・ゴール空港ターミナル2Fの通路を歩いていく。AIR JAPON庶民席に乗るためだ背幕製作。通路の奥に、赤提灯と障子の引き戸。ガラガラと開ける。着物姿の客室乗務員二名が、深々と「いらっしゃいませ」。法被を着たパーサー、「らっしゃい」と通り過ぎる。おしぼりをもらう。席番号なんぞない、畳の大広間。その前に、玄関で茶色のAIR JAPONと書かれたスリッパに履き替える。とりあえず、別嬪の多い辺りにドンと座り、構いはしない、その場で、浴衣に着替える。十二時間も、背広姿でフライト。粋ではないからである。なんとなく、客室乗務員が感付いたのだろう、私のいる一角に、一升瓶が運ばれてくる。「あっ、すいません、まず、アサヒスーパードライ康泰導遊、お願いします」。すかさず運ばれてくる。ぐびぐびする。サキイカときゅうりのキューちゃんも添えられている。ちょっと、泣きそうになる。どどどっ、女子大生らしき一行が私の周りに。「ねえねえ、マミ、やっぱ、最高よねぇー、AIR JAPON、日本までさぁー、宴会したまま到着ぅーーー、いかしてんじゃん」。ルイビトンとシャネルの紙袋が私を隔離するように置かれた。「ちょっと、君たち、年功序列、へっ、ここは、私の席。カバンは、入り口のコインロッカーに入れて」「おじさん、あれ、結構、高いんですよnu skin 如新、十二時間入れると」「あっ、そういうことなのね、じゃ、窓際に寄せて、おじさんも混ぜて」「ひそひそ、ねぇー、マミ、一応、イケメンだし、お金多少はありそうかなぁーーー、でも、庶民クラスだもんなぁー、あれあれあれっ、ピアニストの裕さん?」「あれあれあれ、そうだけど」「わっわっわっ、パリで聴きましたよぉーーー、きゃ」「あれあれあれ、ありゃーーー、驕ったるよ」「きゃーーー、マミ、裕さんよ、ピアニストのnu skin 如新。ちょっと小振りの阿部寛よっ」。
気が向いたら、つづく。
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